活動の様子

2024年8月の「昔ばなし語りの会」

8月18日(日)13:30~15:00
上田創造館 民俗資料館で、「昔ばなし語りの会」を開催しました。
今回のテーマは、夏を涼しくする「こわ~い話」。
聴衆は30名。夏休みとあって、お子さんも何人か見えてくれました。開催を知らずに上田創造館に来て、ついでにちょっとだけと思って覗いてみたら、語りに引き込まれてそのまま最後まで聴いてくださったというご家族もいらっしゃいましたが、半数以上はリピーター。楽しみにしてくださっている方も大勢いらっしゃるようです。
創造館スタッフの工夫で、語り手の顔に青いライトが当たるようにしていただき、「こわ~い話」の雰囲気を演出していただきました。

 

お聴きいただいたみなさんからいただいた感想です。

◦ 語りを聞いて、自分で想像しながら物語ができていく。面白いです。(40代)
◦ 昔にあったことなどいっぱいきけてよかった。またきたい。(小学生)
◦ 皆さんそれぞれ素晴らしかったです。いい時間をありがとうございました。(70代)
◦ たのしかったです。(80代以上)
◦ いつも楽しく聞かせていただいております。
 「蛇の湯治」蛇女の迫力ある声で、なかなかこわかったです。
 「じいさん、いるかい」追いつめられた薬屋さんに同情しました。何にも悪くないのに。
 「炭焼きかかの首」ふしぎな話でした。串ざしの女の首、なかなかこわいですが、家に泊めてもらうのに、何度言われても「二人」というのが、いじらしいですね。血の涙を流してととの名を呼ぶ女、あわれでした。
 皆さん、心に沁みる深い声で聴き入りました。ありがとうございました。(60代)
◦ たまたま図書館へ来て知りました。みなさん話し方がとてもすばらしかった。またぜひ聞きたいと思います。(70代)
◦ 久しぶりに聞かせていただき、本当に楽しめました。日本の昔話は、基本的に優しいと改めて感じました。中村さん、益々いろり端のおばあちゃんが板につき、すばらしい雰囲気で、一気に昔話の世界に引き込まれました。どうぞいつまでもいつまでもご活躍ください。
みなさん、本当に各々の世界をお持ちで、とても素敵でした。稲垣先生にお会いしたくてお会いしたくて、伺いました。先生、お元気でいてくださいね。(70代)
◦ 稲垣さん92歳とは…。また中村さんもすご~いですね。好きな事ができるとはありがたいですね。前半は知っている話でした。
 「橋姫」長い語り、覚えるのは大変だったと思います。
 真夏でのこわい話は一番! 毎回楽しみにしております。ベテランの皆様、いつもありがとうございます。(70代)
◦ たのしかった。(80代以上)
◦ 初めて拝聴しましたが、語り手の皆さんの心を込めた語りに引き込まれた。機会あればまた参加したい。(20代)
◦「絵にかいた猫」ねずみと猫の大小関係が逆になるお話でした。
 「あの世からのことづて」先祖を大切にするお盆らしいお話です。ちょっと早口の部分がありましたね。
 「じいさん、いるかい」追われ追われて恐さがつのった先のオチは、ホッコリするものでした。
 「橋姫」長編のお話でした。
 「土を食った婆さま」貧しい暮らしの中の悲しいお話でした。
 「炭焼きかかの首」不思議な不思議なお話でした。
 青いライティングが良かったです。(70代)
◦ 涼しくなる程ではありませんが、皆さんのお話は語りも含めてすばらしかったです。楽しく拝聴しました。ありがとうございました。(70代)
◦ どの語りも、心に残っています。次回もとても楽しみです。いつまでも若々しい稲垣先生、いつまでも元気ください。(50代)
◦ 今回も穏やかな時間を過ごさせていただきました。毎回思うのですが、語りの方々の声の大きさ、間の取り方が素晴らしく、情景がうかびます。ありがとうございました。(70代)
◦ 夏に良いお話をありがとうございました。こわい話でしたが、楽しかったです。(60代)
◦ 話にでてきたほとんどの人が、かならずしんでいるのでびっくりした。(小学生)
◦ こわそうだと思いましたが、子どもでも聞けるこわさでした。と思ったら、最後のお話「炭焼きかかの首」こわかったです…。お話をすべて覚えておられる語り手の方々、すばらしいですね。貴重な体験をありがとうございました。
 「炭焼きかかの首」かかはずっといっしょにいられてよかったですね。かかの「あぃ~」と「ふたりだぁー」が愛らしい。(30代)
◦ こういう機会はなかなかなく、貴重な体験でした。少しだけ聞くつもりが、だんだん聞き入ってしまいました。(50代)
◦ 遅くなってしまい、すみません!! 最後の稲垣先生の語りが聞けてよかったです。

2024年08月18日

2024年 塩田公民館 夏休みしおだっ子講座「むかしばなし」

2024年8月8日(木)19:00~20:00

昨年に引き続き2回目となる塩田公民館主催による夏休み子ども向け講座のうちの一講座「むかしばなし ~こわいはなしが またくるぞ~」を担当。
保育園児~小学生のお子さん20名、保護者12名に昔ばなしを愉しんでいただきました。
昨年に続き今年もまた聴きに来てくださったというお子さんも何人もいました。
演目は、「牛鬼渕」「火の玉」「こんな晩(六部)」「学校の怪談」の4つ。

2024年08月08日

六合 民話探訪

2024年8月4日
毎年「民話 語りっこ 学びっこ」に参加してくださっている群馬県吾妻郡中之条村の「六合の文化を守る会」を訪ねました。
参加者7人
7人乗りワゴン車(セレナ)1台に、全員が乗り込んで出発です。

青木村 発8:00-上田8:40-鳥居峠9:20-10:00長野原10:35-11:10六合 入山 ねどふみの里(六合民話の家)11:45
-尻焼温泉 川風呂11:50-12:05大仙の滝12:35-12:45荷付場の道祖神12:55-13:00道の駅六合(昼食)13:55
-14:05暮坂高原オートキャンプ場「半右衛門の泉」14:40-14:55旧太子駅15:20-白砂川「河童渕」-15:30赤岩集落16:25
-上田18:10-青木村 着18:40

六合では、「六合の文化を守る会」の山本 茂先生に案内していたきました。感謝に堪えません。
また、暮坂高原オートキャンプ場では、昨年の「民話 語りっこ 学びっこ」で「半右ヱ門の泉」を語ってくださった中沢久美恵さんにお会いでき、キャンプ場内にある半右衛門の泉を見せていただきました。

ねどふみの里(六合民話の家)で山本先生と合流。

山本先生から六合民話の家の説明をお聞きする。

民話の家に上がらせていただき、内部を見学。

二階には、昔懐かしい民具が並べられている。
写真中央の竹籠は、病人駕籠。
山間に暮らす六合の人々が病院にかかることはほとんどなかった。家庭常備薬の富山の薬で済ませるのが常であり、病人駕籠に乗せられて草津の病院まで運ばれるときは、看取ってもらうもらうときだったという。どんな思いでこの駕籠に乗せられ、見送ったことだろう。今生の別れそのものであったに違いない。死出の旅というほかない。ここに、暮らしがある。

屋根裏の骨組みは、すべて縄で組まれている。

 

尻焼温泉の川風呂では、川の底から湯が湧き出している。川そのものが野天の湯船。

 

世立八滝の一つ、大仙の滝を見るために、滝見ドライブインの駐車場に車を停めると、傍らに地蔵像が二体佇んでいた。
夜泣き地蔵と呼ばれている。
間引きする子どもには新しい草履や下駄も履かせてやれず、この辺りに葬られた。そのために、夜になると「じょんじょ(草履) ほしいよ」「かっこ(下駄) ほしいよ」と言いながら子どもの泣く声が聞こえたという。
その霊を慰めようと、夜泣き地蔵が建てられた。
向かって左側の地蔵は左腕で子どもを抱え、足元にも子どもがすがっている。

大仙の滝。落差20mの直瀑。ミストが涼感を呼ぶ。

滝の上流の岩肌の中央に、天狗の足跡(左足 縦10m・横幅5m)が見える。
天狗が一本歯の下駄を脱いで裸足になって岩に飛び移った跡だという。
右足の跡は、20㎞も離れた長野原にあるとか。

世立八滝は、大仙の滝のほか、段々(だった)の滝、箱の滝、久内(きゅうない)の滝、不思議の滝、井戸の滝、殺人(さつうぜん)の滝、仙の滝の7つ。
「殺人の滝」は、昔、旅の僧を突き落とし金品を奪ったことから名付けられたという。
また、「久内の滝」には、久内という人が河童に引き込まれたという民話が残る。
「仙の滝」は、仙人が発見したという。

 

荷付場の道祖神。抱擁道祖神とも。
二体が抱き合っている姿は珍しく微笑ましい。高遠の石工が彫ったものだと言われる。
六合では、道祖神をあちこちで見ることができる。

 

道の駅六合で、昼食。

 

暮坂高原オートキャンプ場。
高原の空気が爽やかだ。キャンプ場内には、小川も流れている。
湧水の「半右衛門の泉」を囲む。

キャンプ場管理棟受付で、中沢さんご夫妻とともに。

 

旧太子駅。駅舎の後ろにホッパー棟が見える。
ホッパー棟やホーム・駅舎の復元などを行い、2018年4月から観光資源として一般公開を始めた。2021年2月、国の登録有形文化財に登録。
太子駅は、戦時中の1945年1月に日本鋼管株式会社群馬鉄山の鉄鉱石を運ぶ専用線 太子線(太子~長野原)の始発駅として開業。1952年10月、国鉄に編入。1954年6月には旅客営業を開始したが、1966年3月に群馬鉄山が閉山し、1971年5月に路線が廃線となった。
終戦7ヶ月前の開業。朝鮮の人々が強制労働させられた歴史を忘れてはならない。戦争は、すべての人々の生命・人権・幸福を剥奪する。

ホッパー棟。全長約100m。
鉱石・砂利などを上部から投入し、下部に進入した貨物車の荷台に直接排出し積載する。
群馬鉄山(現 チャツボミゴケ公園)で採掘した鉱石を直線距離8㎞の索道で運搬し、太子駅のホッパーで、貨車に積み込んだ。
現存するのは1階の柱部分のみ。当時は3階建ての施設だった。

 

国道292号から赤岩集落に向かい、白砂川を渡る。
橋から下流(南側)を眺め、「河童伝説」が残る川筋を望む。

 

赤岩集落。
上の観音堂。集落内最古(1764年)の建築物。唯一の茅葺屋根。

湯本家住宅は、工事中で建物が覆われ見学できなかった。
1806年に建てられ、1897年に3階部分が増築された。2階には、蘭学者 高野長英を匿った「長英の間」が残されている。
切り取った河童の腕を返す代わりに、「河童の妙薬」が伝授されたという伝説が残る。

関家の三階屋。
地区内最大の総三階建て建築物。
上層階になるに従い、軒が迫り出している。養蚕に対応。
集落全体が、2006年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

集落入口の水車小屋を背景に、全員で記念撮影。

六合は、1889年4月の町村制施行に伴い草津村として発足するが、1900年に分村し、旧 小雨・赤岩・生須(なます)・太子(おおし)・日影・入山の六つの大字を合わせ「六合村」とする。
『古事記』上巻序文に「乾符を握って六合を総べ」、『日本書紀』の神武天皇即位のくだりに「六合を兼ねて以って都を開き」とあり、「六合」とは天地と東西南北、支配の及ぶ範囲「国」を表すことから、「くに」と読む。
2010年3月28日、中之条町と合併。

2024年08月04日

2024年7月の民話学習

2024年7月13日(土)13:30~15:00
参加者9人
「花野の娘」

【学習内容のまとめ】
『日本の民話 第6巻 -土着の信仰-』(角川書店・1973年初版)
 「娘の骸骨」(※稲垣所長 改題「花野の娘」)

「花野」は秋の季語。ただし、季語の成立は江戸時代以降。
万葉集に「秋萩の花野のすすき穂には出でず 吾が恋ひわたる隠り妻はも」

叙述に沿って
「爺(じい)」⇒「じさま」と呼びたい。そのほうが、語り手の肯定的感情がこもる。娘の話し言葉「爺さま」は「じいさま」。
「四月八日」…釈迦生誕日。信心深い爺の人柄がわかる。
「ゆるゆる酒でも」…穏やかさ・風流を感じる一方、ゆったりとした仰々しさのない人柄も感じられる。優れたオノマトペ。
4月8日の日中、現実からの語り出し:骸骨と酒盛り➡夕方(=おおまがどき):境界➡娘:ファンタジー
「はてはてなァ」⇒「はてはて はてなァ」…日本語のリズムと適応。
「爺さま爺さま」…娘の呼びかけは二度。日本の伝統的言い回し。思いを込めて呼ぶ、人としての声がけ。
 ※「もしもし」は応じてよいが、「もし」は妖怪の呼びかけとされ応じるべきでないとされる。
「女の声」…初めて、女性であることが明かされる。
「そろっとふり返って」…不安・怪しみをもった様子。「そっと」とは異なる。
「十七、八の美しい娘」…娘としていちばん初々しい時期。
「爺さま、きょうはおまえのおかげで」
 …「爺さま」は敬語、「おまえ」は近世前期までは目上、近世末期以降は同等以下もしくは親しい間柄への呼びかけ。
  ここでは、親しさを込めた言い方と取るべきか。

2024年07月13日

2024年6月の「昔ばなし語りの会」

6月30日(日)13:30~15:10
上田創造館 民俗資料館で、「昔ばなし語りの会」を開催しました。
今回のテーマは、「今、語りたい、伝えたい民話」。各々の語り手が、"語りたい""伝えたい"思いをもって選んだ民話です。
聴衆は、途中から顔を出してくださった方も含め36名。いつものことですが、メイン会場の"囲炉裏の間"には入りきれず、隣の区画でモニターを通してご覧いただいた方・お子さんも多数いらっしゃいました。

お聴きいただいたみなさんからいただいた感想です。

◦ 「あずきとぎ」始まりの泥っかすの子どもの声がリアルでした。
 「猫檀家」低音が魅力の声でした。
 「おおかみの眉毛」とても不思議なストーリーでした。
 「五郎びつ」心穏やかに聞いていましたが、最後に急展開の災害の話への人情物語。自然災害の備えの大切さを学びました。
 「八幡様の狐」お話の後の逸話もおもしろかったです。母親のことが気になりました。
 「へび女房」母親の愛の大きさを伝える話でした。
 「クチナシの花」毎日のあたりまえの生活の大切さを教える話でした。
 「花野の娘」普段の生活が大切なお話でした。
◦ 毎回楽しく拝聴させて頂いております。今回も穏やかなひとときを過ごさせて頂きました。昔話に聴き入り、毎日の大変な事や気持ちを流して頂き、すっきりとした自分になりました。ありがとうございました。
◦ 亡き母は真田の出。小さい頃、あずきとぎのこと、聞かされました。おりこうにしていないと連れていかれると。十数年たった今、大変懐かしく聞かせていただきました。狐にだまされた人がたくさんいたとか。長野(上田方面)の民話の話、たくさん聞きたいと思いました。
◦ 久々に聞きました。活字を追うとはちがい、とても楽しめました。結末が気になりドキドキしました。ありがとうございました。
◦ 8人の語りにひきこまれてしまいました。1時間30分はあっという間に過ぎてしまいました。またの期の語りの会、楽しみにしております。お互い加齢の身です。お体大切に、よい話を長くお聞かせください。
◦ みんな お話がむずかしかった。「クチナシの娘」が一番むずかしかったけど、帰ったら、娘はクチナシの木だったということがわかった。「五郎びつ」は、最後に五郎がいなくなったのは、食材が一人分足りなくて、自分がいなくなれば足りると五郎が思ったって思いました。おもしろかった。(小6)

2024年06月30日
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