実相院を訪ねる

明治の廃仏毀釈で、山家神社にあった白山寺から移されたという十一面観音を拝観したく、十福の湯への帰り道、真田町傍陽の金綱山実相院を訪ねた。
車を駐車場に乗り入れると、外仕事をしていた若い住職さんが気にかけてくださっている。車を降りて訳を話すと、快く本堂に案内してくださった。若い住職さんなのに、心遣いが大変優しい。
十一面観音像は、本堂左手奥に安置されていた。撮影の許可をいただき、画像に収める。
平安末期・藤原時代の作。柔和な表情や衣文の繊細な彫りなどから、京の仏師が手がけたものだろうと言われる。


本堂の左手崖上には、懸崖造りの観音堂が見える。坂上田村麻呂が角間渓谷の鬼退治をした際に助力したとされる馬頭観世音が祀られているが、普段は見られないとのこと。大般若会の際に御開帳になるのだとか。
境内には、角間渓谷の鬼・毘邪王が縛りつけられた鬼松、埋められた場所の鬼石など、見どころが多い。
山号「金縄山」は、毘邪王を鉄の鎖で縛りつけたことから命名。
春にもう一度訪ね、境内をゆっくり回らせていただくことにして、今回は短時間でお暇した。

2024年01月17日