白山比咩神社を訪ねる

2023年1月13日、上田市山口にある白山比咩神社を訪ねた。
上田市真田町石舟に残る「白山姫」民話に登場する、追っ手の白山神から逃れた白山姫が鎮まったとされる神社だ。
急な長い石段を登りきり境内に立つと、すぐ脇に建てられている由緒書が目に入った。
「祭神伊弉諾尊・伊弉冉尊・菊理媛命由緒
人皇四十五代聖武天皇御宇 天平五癸酉年疫病甚敷発生セルニ依リ 加賀国石川郡ヨリ白山比咩神ヲ分座シ 同年九月廿九日太郎山梺ニ勧請 神僧西光寺神官牛久保氏并奉仕ス 其ノ後延喜四甲子年三月三日滋野幸明太郎山梺ヨリ 此ノ地二ノ宮ニ遷ス 弘安元戊寅年九月廿日上田太郎大江佐泰再建ス 其ノ後元禄四年辛未閏八月十八日氏子一統併力本社再建シ 現在ニ至ル 其ノ間疫病ノ神トシテ崇敬セラレ 又軍サ神トシテ知ラレ
治承四庚子年二月三日   源義仲
天文二年九月三日     村上義清
天文十七年三月十日    武田信玄
天正十一癸未年八月十八日 眞田昌幸
慶長六辛丑年八月十三日  眞田信幸
右記戰国ノ武将夫々戰捷ヲ祈願ス
海抜六百五十米ノ髙所ニ鎮座シ 眼下ニ上田小県ヲ見下シ 遠佐久平美ケ原霧ヶ峯蓼科山ヲ望ム昭和五三年三月吉日」とある。
疫病退散を願い加賀国から白山比咩神社を分座し勧請したとするくだりは、「白山姫」民話の内容と呼応する。

 

一方、昨年秋に尋ねた上田市真田町山家に鎮座する山家神社に纏わる「白山様」民話では、腐れ病を患った白山姫から夫の白山神が逃れ、娘と共にやってきたとされる。娘と夏冬交互に四阿山と山家神社を入れ替わったという内容は、明治初期まで行われていた山家神社の祭事「神送り・神迎え」と響き合う。

白山姫にお供した弥五が鎮まったとされる弥五神社の在り処がわからない。調べを進めると、1901(明治34)年に「草創神社」と改称していることが分かった。以前の表記は「弥伍神社」が正しいようだ。
ただし、こちらの由緒書には「祭神 須佐男命・弥種継命」とあり、疫病退散のため勧請した点は白山比咩神社と呼応するが、勧請元や祭神からは白山信仰との繋がりは見当たらない。

2023年01月13日