2024年7月の民話学習

2024年7月13日(土)13:30~15:00
参加者9人
「花野の娘」

【学習内容のまとめ】
『日本の民話 第6巻 -土着の信仰-』(角川書店・1973年初版)
 「娘の骸骨」(※稲垣所長 改題「花野の娘」)

「花野」は秋の季語。ただし、季語の成立は江戸時代以降。
万葉集に「秋萩の花野のすすき穂には出でず 吾が恋ひわたる隠り妻はも」

叙述に沿って
「爺(じい)」⇒「じさま」と呼びたい。そのほうが、語り手の肯定的感情がこもる。娘の話し言葉「爺さま」は「じいさま」。
「四月八日」…釈迦生誕日。信心深い爺の人柄がわかる。
「ゆるゆる酒でも」…穏やかさ・風流を感じる一方、ゆったりとした仰々しさのない人柄も感じられる。優れたオノマトペ。
4月8日の日中、現実からの語り出し:骸骨と酒盛り➡夕方(=おおまがどき):境界➡娘:ファンタジー
「はてはてなァ」⇒「はてはて はてなァ」…日本語のリズムと適応。
「爺さま爺さま」…娘の呼びかけは二度。日本の伝統的言い回し。思いを込めて呼ぶ、人としての声がけ。
 ※「もしもし」は応じてよいが、「もし」は妖怪の呼びかけとされ応じるべきでないとされる。
「女の声」…初めて、女性であることが明かされる。
「そろっとふり返って」…不安・怪しみをもった様子。「そっと」とは異なる。
「十七、八の美しい娘」…娘としていちばん初々しい時期。
「爺さま、きょうはおまえのおかげで」
 …「爺さま」は敬語、「おまえ」は近世前期までは目上、近世末期以降は同等以下もしくは親しい間柄への呼びかけ。
  ここでは、親しさを込めた言い方と取るべきか。

2024年07月13日